ERP5はフル機能のERPでどんなビジネスの工程にも合うようにデザインされたとても柔軟な構造を持っています。ERP5の機能デザインは5つのドキュメント型に基づいています: オーダードキュメント、デリバリードキュメント、会計ドキュメント、CRM(顧客関係管理)ドキュメント、PDM(製品情報管理)ドキュメントです。
- オーダードキュメントは顧客が何を買いたいか(受注)、それはどんな条件(販売取引条件)下で取引をして、ということを定義するのに使われます。これは同様に企業が何を調達先から購入したいか(発注)、どんな条件(購買取引条件)下で取引をして、ということを定義するのにも使われます。オーダーは作業課題のような無形の要望を表すこともできます。
- デリバリーは企業が何をその顧客に届けるか(出荷明細)、企業が何を調達先から受け取るか(入荷明細)、そして何が製造工程で払い出される(製造入出庫明細)予定になっているかなどを定義するのに使われます。 デリバリーはさらにプロジェクト管理での作業報告書のような無形のものを表すこともできます。
- 会計ドキュメントはモノやサービスなどの顧客に届けたもの(販売請求書)や調達先から受け取ったもの(購買請求書)の資産の移転を表します。会計ドキュメントはさらに総勘定元帳のための仕訳の機能も提供します。
- CRM(顧客関係管理)ドキュメントは顧客との関係を純粋に書類に記録していく方法で記録し続けます。
- PDM(製品情報管理)ドキュメントは処方や部品表、BOM(トランスフォーメーション)といったものでどのように一つの製品が個別の部品から作られるかを定義します。
複数のドキュメントを結合して受注管理や購買管理、顧客関係管理などの一つの複雑なビジネス工程にすることができます。
販売工程
受注工程は顧客の要請から始まります。顧客情報、サービス品質保証契約、支払条件は販売取引条件と呼ばれるドキュメントに入力されます。ひとたび全ての情報が入力されて承認されると顧客登録は完了したことになります。そうすると受注ドキュメントに顧客の要請を入力することができるようになります。複雑な注文の場合には製品設計が必要になるかもしれません。製品設計は一つの複雑な製品を製造するために必要な全ての部品と作業を定義したトランスフォーメーションドキュメントを作ることで得られます。顧客はもしかすると彼らの注文を確認し、そして次に出荷明細が作られます。この時点から在庫請求がトランスフォーメーションドキュメントにある部品の一覧から計算されて、もしくは製造入出庫明細に手入力で定義されて行われます。もしも必要な全ての部品の在庫があるならば、複雑な製品の製造が実行可能になり、出来上がった結果の製品は顧客に出荷可能になります。出荷にあたり販売請求書が作られて記帳されます。支払は会計システムに記帳されてやがて請求は清算されます。
調達工程
調達工程は調達先の登録から始まります。調達先のサービス品質保証契約と支払条件は前もって購買取引条件ドキュメントに入力します。そうするとERP5のMRPシステムは在庫請求の要請を満すために製造入出庫明細の現在のセットに基づいて提案された発注ドキュメントの一覧を計算します。ひとたび発注ドキュメントが調達部門に承認されるとそれらは調達先に送信されて入荷明細ドキュメントが前もって作成されます。調達先から品物が届いたら、それらは予め作成されている入荷明細と合致されます。これにより届けられることが予定されていたものと実際に届けられたものの違いを追跡することができます。そうすると購買請求書ドキュメントが前もって作られます。調達先から本物の請求書が届いたら、それは予定済みの購買請求書と合致されます。これにより予定されていた請求書の内容と実際に届いた請求書の内容の違いを追跡することができます。もし購買請求書が承認されたら、購買請求書は記帳されます。そして支払の処理が行われ、請求は清算されます。
苦情工程
CRM工程は顧客の苦情がEメールやFAXや電話等で届いたところから始まり、それはイベントドキュメントとしてERP5で表わされます。もしもサービス品質保証契約が苦情を許可し、そしてもしそれが正当なものであるなら、苦情のためのチケットが作られます。ひとたび苦情が処理されたら、クレジットメモが発行されて記帳されます。そしてクレジットメモはやがて支払の処理のあとに清算されます。
柔軟なビジネスプロセス
ERP5は柔軟さのために設計されています。ERP5の標準設定はどんなビジネスプロセスにも合うように単純化もしくは拡張することができます。例えばとある販売工程は出荷の前に顧客の与信審査が必要かもしれません。この審査はERP5の出荷明細用の標準ワークフローをカスタマイズすることで実現できます。ERP5の標準工程はまたまったく新しいビジネスプロセス用の基盤として供することができます。例えばERP5プロジェクト管理工程はERP5調達工程から派生し、それを自動的なセキュリティとロールの割り当てで拡張して作られました。それと同じ方法で、オーダー、デリバリー、会計、CRM、PDMから成るどんなビジネスプロセスもERP5で素早く効率的にあなたの組織やあなたのビジネスに特有のどんな要件にも合うようにモデル化できます。